6時起床。二度寝して、7時ごろようやく身を起こす。昨日からズキズキと痛む喉には快調の兆しがなく、調理意欲が沸かないからカップのヨーグルトにシリアルをのせて無理やりかき混ぜる。「洗い物なんてないに越したことないですからね」と言い訳しながらソファに沈みこむと、ようやく目が覚めてくる。
それでも近頃は随分早く起きれるようになった。歳を重ねるごとに無理が効かなくなる。学部生のころは平気で夜を明かしていたのに、今では調子を崩すから躊躇するようになった。規則的な生活を送るよう努力することが、今のコンディションにはちょうどいい。
覚えている限り、初めて夜を徹したのは被災したときだ。電気が復活するまで、夜にできることは何もなく、昼間は家族とともに雑事をこなさねばならなかったので、一人の時間というものが存在しなかった。
電気がつくようになった最初の夜、たった一人で数学の問題に向き合うことのできる安らぎを噛み締めた。決して得意ではなかった科目にうんうん頭を悩ませているその間だけ、今自分を取り囲む環境を忘れることができた。
テレビもつかず、学校にもいけず、ただ、たくさんの人が亡くなって、誰かが、誰もが死んだのだと思えたあの日々、庭で放射線量を確かめながら、もしかしたら私だって死ぬのかもしれないという不安が密かに芽生えたあの日々をどうやって乗り越えたのか、今となっては分からない。
けれど、そうした夜を卒業しようとしていることはなんだか嬉しい。眠れない夜なんてないに越したことはない。家族と顔を合わせるその前に、自分が自分であること
……5月17日の日記はなぜかここで途切れている。しかも今日ブログを開くまで、書いたことすら忘れられていた。
いつも思うことだが、文章は終わらせるのが難しい。